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矢田学区防災安心まちづくりニュース 令和3年4月


発表会から導き出された課題へのチャレンジ

令和3年3月13日(土)午後1時30分から午後2時40分まで、矢田コミセン大会議室で『私たちの防災・減災まちづくりビジョン発表会(略称 減災ビジョン発表会)』を行いました。

当日は、24名の災害対策委員(町内会長)に加え、海道名城大学名誉教授、東区役所の市原さんと永田さん、東消防署の牧さんと吉川さん、連協参与の椿さんと政木さんに参加をいただきました。

はじめに、各グループからの発表がありました。各グループの発表主旨は以下のようです。

 

 

○Aグループ(矢田学区の北西地域)

地震対策が喫緊の課題。近年大きな災害に遭遇していないので防災意識の希薄化を懸念。「明日は我が身」という当事者意識を高めていくことが必要。

 

○Bグループ(メッツ大曽根に接した地域)

地盤が軟弱で災害リスクが高い。東海豪雨浸水深調査を踏まえ避難経路を見直し。矢田川堤防決壊時の浸水深調査も実施。災害ごみへの対応も課題。火災発生に備え初期消火の機器開発を提案。

 

○Cグループ(旧矢田村を中心とした地域)

地盤は砂層で地下水が高く地震時に液状化の懸念。道路幅が狭く家屋倒壊による封鎖やブロック塀やコンクリート擁壁倒壊への対策や避難経路の周知も課題。区画整理も地域の防災対策課題。

 

○Dグループ(旧大幸村で矢田川堤防を背にした地域)

矢田川堤防は過去に崩落した記録があり、災害に対する対応が必要。道路狭隘地域では避難リーダーの養成が課題。指定避難所までのルート上の浸水常態地域の安全な通路も課題。

 

○Eグループ①(イオン・ドーム南側に接した地域)

大規模集客施設や大学、工場があり、発災時の人や車の流れを踏まえた帰宅困難者への対策が課題。すぐ近くに隣接学区の指定避難所があり、避難所の調整・整備が必要。

 

○Eグループ②(中高層の鉄筋コンクリート共同住宅が立ち並ぶ地域)

高層住宅特有な防災課題の解決と自宅退避における情報連絡方法の確立が必要。避難補助が必要な人を把握し、補助人員や補助方法をまとめることが急務の課題。

その後の講評では、以下のような話がされました。

○海道名城大学名誉教授

  • 狭い道路やブロック塀の危険度等をフィールドワークで確認できたことは意義あること。このことは、地区ごとの具体的な取り組みが必要であることを意味している。
  • 対策を立てる際、長期にわたり取り組まなければならない問題(区画整理、高台移転等)と短期で処理できる問題(避難路の整備点検、避難訓練等)とに分け、誰が責任をもって、どのように具体化するかを明示すること。
  • また、それはどれぐらいでできるものか、日常的に行うものか、定期的に継続して行うものか、行政に依頼しなければできないものかを明確にして取り組まなければならない。
  • フィールドワークで発見した事項で共通したものについては、地区ごとで対処するのではなく共同で考えてみることも必要。
  • 見直した避難経路については、実際に歩いてみて新たな課題を発見する姿勢が重要。
  • 発表資料は、今後、学区のイベント等で掲示し、多くの人に知ってもらい共有することが大事。

○東区役所市原主査

  • 避難経路や避難する際の問題、避難所に関する課題等、区役所としても検討したい。

○東消防署牧警防地域第二課係長

  • 地域ごとに脆弱性が異なり、地域防災力も万能ではない。「何が足りないのか」という視点から取り組みを振り返ってみることが重要。

令和3年度は、上記の海道名城大学名誉教授のアドバイスや東区役所、東消防署からの示唆、学区のみなさんの声を踏まえ、発表会で出された課題を整理して、具体的な取り組みについて協議し、実際の取り組みに反映させていきたいと思います。

4月24日(土)午前10時から11時30分まで、矢田コミセンで「地域防災会議」を行います。災害対策委員(町内会長)のみなさんのご出席をお願いします。

減災ビジョンへの学区のみなさんの声

いずれ来るであろうと予想されている南海トラフ大地震に備え、平時の今こそ、私たちの住むこの地域での防災・減災・復興ビジョンを一人一人が当事者意識を持って描くことが求められています。

減災ビジョンリーフレットは、こんな思いから災害対策委員(町内会長)のみんなで作成しました。

矢田学区のみなさんの減災ビジョンリーフレットに対する感想・意見・要望等を集約していただきました。以下、要約して記述します。

  • 減災ビジョンをみて矢田学区の全貌がはっきりと見てとれた。同時に自分自身の意識のズレを感じたのも事実といった声が複数聞かれた。また、マンションの住人からは、これまで組織的な実際の防災訓練が殆どなされていない現状から避難経路のこと、ガスの元栓の処理や電源のシャットダウンの仕方など、災害が現実になった場合、個々の家庭ではパニックに陥るケースが懸念されるという声もあった。(矢田2西)
  • マンション住人と以前から住む住人との距離感や同じ住人同士の付き合いの希薄化が問題となっている昨今、防災意識をどうやって共有し活動を進めていくか、まず最初に立ち塞がる大きな課題。
  • わが町内会は、分散避難(指定避難所、自宅、車中泊、ホテル等)を基本としている。また、常に避難準備を怠らないよう回覧板等にて注意喚起を促していきたい。(矢田4北)
  • 地形、歴史、建造物、住民意識など、各グループが共通のテーマをもってフィールドワークを行い調査したことをまとめてあるので読みやすい。これを基に、協同でできること、補い合ってできることを話し合って、具体的な形にできるとよいと思う。(矢田1南)
  • 2~3人が組となって、危険個所の見回りをしている。(矢田2南)
  • 20年前の東海豪雨のことは町内のみなさんが鮮明に覚えている。町内を回って体験談を聞き、水深や場所等を独自に地図に落とした。矢田学区が他の学区と比べて床上・床下の被害状況が群を抜いて多く、なかでもこの町内の水深が60㎝と突出していた。現在は、大曽根駅の防災センターの地下に調整池ができ、町内で水はけの悪い落ち葉などが詰まる所は排水口の蓋を大きくして水はけをよくした。大雨が降っていないので効果のほどは分からないが以前に比べて安心感はある。東海豪雨の時もそうであったが、今後、大雨が降り冠水すると、幹線からの乗用車が矢田五丁目地内に侵入して、その勢いで波が立ち民家に押し寄せて被害を大きくしている。危険でもあるため、以前はロープを張ったと聞いているが、車が侵入できないような対策は取れないか。例えば、幹線から脇道に入れないように柵などは設置できないか。東日本大震災から10年を迎えたが、遠いところでのことで他人ごとのように思っていたが減災リーフレットを見て、今一度身の回りを確認し、防災・減災に関する意識を高めた。自宅前の植木鉢は避難時の障害になるので、リスクを少しでも減らしたいと思う。町内は、新築や古家等が混在している。発災時の判断は個人では難しく、自治体・町内会連携ができているか心配。(矢田5)
  • 各町内の防災面での危険個所が分かった。(矢田4東)
  • 道路の狭い箇所が多くあるので避難時に注意するのがわかる。液状化等が心配なところもある。集中豪雨の時に通れる道路がもっと詳しく分かればよい。(矢田4中)
  • 消火器の場所の記入。避難所への案内表示の明示。過去の浸水場所の明示。(大幸3東)
  • 東側と南側に幹線道路があり、ガイドウエイバスもあるので、安全に避難できるか。地震時に矢田川の逆流はないか。(大幸4中)
  • 矢田川堤防が崩落したことを初めて知り、昨今の水害のことが頭をよぎった。大幸町に川が流れていたことは聞いたことがあるが、液状化が心配。指定避難所までの避難経路に浸水地域があるとは思わなかった。いざというとき避難路の確保は重要。リスクを共有するグループ単位で、助け合いの仕組みづくりのような防災の仕組みづくり(自主防災組織が連携したようなもの)がこれからは必要だと感じた。テーマ(課題)に沿って調査されていないグループが見受けられ、リーフレット上では統一された方が分かりやすい。ただし、内容的には網羅されているように思う。(大幸4西)
  • 従前からの住民は、リーフレットの内容を理解し、指針にも納得し、非常時の行動の参考になるという意見が多い。反面、学生マンションやワンルームマンション等の入居者とはコミュニケーションを取る環境がなく、非常時にどこに避難するかも分かっていないと思う。当該の管理組合は、入居者への町内会行事参加依頼も断り、セキュリティ強化で建造物への立ち入りができず、回覧物も回せない状況である。この状況を改善するには連協や町内会だけでは難しく、強制力のある市や区役所等の行政と協力しなければ防災・減災の効果を高めることができない。(大幸4東)
  • 広域避難場所がドームのみでは不安。どこに避難してよいのかという声も聞かれた。(矢田南2)
  • 災害時は団地内にいることが一番安全。(前浪西)
  • 町内の住民の高齢化が進み災害対策委員も高齢化しつつあり、災害対策委員自体が実際に動けるかが心配。避難場所が近くにあってもどれだけ集まるか、スペースがあるかも心配。(大幸南2)